祭りの中の静けさ~「怪しい探検隊不思議島へ行く」風~
椎名誠の怪しい探検隊シリーズ、好きでよく読んでいましたが
鳥羽から向かった先を、そんなタッチで書いてみます。

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フェリーから逃げるように降りたジュリア家は定期船乗り場へと向かった。
また船である。
次の便が出るまでには1時間。
待合いに響く会話も関西弁が入り混ざる。
日も暮れてきて、心細くなってきた視線を、
右斜め下45度の角度にさまよわせつつ、隅の方でかたまりじっと待つ。

離島へ向かう船は小型船舶といった趣きで
観光客へというよりは地元の足となっている。
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船で働く人はいやおうなく頼もしく見えるのですが


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鳥羽側の海は、伊良湖側に比べると落ち着いているようで
船は小さいながらも、エッショエッショと進んでいく


この船が向かっている先は答志島である。
鳥羽から定期船で25分の距離にあり、周囲26.3km 人口3,000人弱。
鳥羽湾に浮かぶ漁師の島である。

今宵はこの島でとれる海の幸に舌鼓みを打ち
とりあえずビール!なにはなくともビール!と連呼するのが
この島を行き先に決めていた理由である。

桟橋に着くと、宿のオババがライトバンを従えて迎えに出ていた。
カートに乗ったジュリアが珍しいようで、
「あかんぼかと思ったら犬だ!」と、たまげた様子。
いえ、あかんぼはおりません。犬と泊まると電話で伝えていたのですが...。
心の中でそっとそっとツブヤク。

漁港の間を走りぬけながら
「今日はお祭りだから静かですいません」と謝られる。
お祭りだとうるさいのではないか?裏の意味があるのか?
聞くに聞けず、あいまいな微笑みを浮かべる夫と私。
脇道から出てこようとする車にはスルドイ警笛を鳴らしつつ
オババの車は慣れた道を進んでいく。

途中、「答志島温泉」の看板をあげた建物がみえてくる。
温泉好きの夫の表情も和らぎ、
「ああ、温泉あるんですね!」と声をかけると
「ここのはね、あんまりおすすめしないんですよ」
オババの意味ありげな声色に、またもたじろぐ夫と私。
「お湯が少なくてね」と、弁解するように言われるが
なんともミステリアスな島である。

ほどなくして、宿に着き、部屋へ通される。
時刻は6時。食事の支度ができていると案内されるが
食べる前に飲む前に、なにはなくとも風呂へ!の夫が
ここは譲らず、毅然として風呂へ向かう。
早く食べに来てほしい宿からのオーラをじわじわと感じつつ
部屋で待つ私とジュリア。
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「パパ、行っちゃいましたの...」


この宿は1泊2食つき8,000円。休前日割増料金なしの明朗会計。
果たして期待していた夕食は、
なまこ、もずく、揚げ物、焼き魚、刺身、海鮮グラタン、わかめのしゃぶしゃぶ
そして焼き牡蠣に、汁物と、想像以上の品揃えで
これにはいつも小食の夫も、本気モードでビールをエイエイとあおりつつ
ウレシイウレシイのオーラを振り撒くのでした。

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暗い緑色だった地物のワカメが
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湯に漬かると鮮やかな明るい緑へ変化する


ワカメのしゃぶしゃぶは、ポン酢でシンプルに食すのだが
磯の香りが口じゅうに広がる。

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殻を開けると
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そこには贅沢な身がプリプリとして私を待つのだった


焼き牡蠣は至福の味。人間に生まれてよかった。ビールが飲めてよかった!

この食事中に、「祭りで静か」の理由がわかった。
ちょうどこの日は年に一度の地元の祭り八幡祭りの最中で
祭りの行われる神社では、神に豊漁を祈願する
地元漁師や奥さん方の踊りなどが、延々と催されているそうなのだ。

この祭りだけは外せない、と、宿の従業員もみな意気込むため
この日はお客をとらないようにし、あたりの人もみな出払っているので静か
ということだった。
確かに私たちの他には、男性客1名のみ。
この島らしさが、今思うとよく分かる話である。

することもなく、静かなので、夜9時には就寝。
慣れない場所で、夜中、寝れずにキュンキュンすすり泣くジュリアに
「ジュリアうるさい」の夫の地の底からのような声が響く。
この低い声は本気、と、ジュリアが自分の存在すら消すDeleteキーを
そっと押す。
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「だってあたし、こんな布一枚じゃ寝れやしない...」


ゴウゴウと強い風の吹き荒れる音を遠くに聞きながら
妙に寒いと目覚めた朝、窓の外は雪である。
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西のほうのあったかい島に来たつもりだったのですが


朝食は地元で取れた海のものを使ったシンプルな料理が並び
ごはん二膳であっというまに完食。
船の時間まで、近くを散歩することに。
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宿泊した浜崎ペンション
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宿の前はすぐに海岸
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「おすすめしない」という答志島温泉
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風が強いのと寒いのがなければ楽しい朝の散歩ですが


宿に戻り、9時半の高速船があるからと宿のオババに教えられる。
普通の連絡船は25分で片道520円
高速船は10分で片道500円
「今はいろいろうるさくなっちゃって」と、乗船する者の氏名を書かされるが
10分で着くならと、船に飽きてきた夫は明るい表情。

港には、昨日薄暗い中来るときも見えた大漁旗が
明るい朝の光の中ではためき
なかなか勇壮で感動的でもある。
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大漁旗を全ての漁船が掲げて停泊するのも祭りの時のみ
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お祭りしてるとか、知らなかったんです、本当に...


観光に熱心な様子でもなく、余所者には一定距離を保ちつつの
なんともミステリアスな島だと思いましたが
夜来て、妙に犬を大事にしながらすぐに帰っていく我々のほうが、
島の人からはよっぽどミステリアスに見えたかもしれません。

ジュリアをカートに入れて、またも周囲の奇異の目にさらされつつ
高速船は鳥羽に向かってゴウゴウと一目散に進んでいくのでした。

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怪しい探検隊風(我流ですが...)の答志島編、これにて完です。
それっぽくオババとか書いてみましたが
お宿のおかみさんは、親切ないい方でした。
売り込まれると、逆に引いてしまう私の性格にもよく合った
素朴で、なんといっても美味しい海の島でした。
誤解を招く表現があったらすみません(笑)

宿泊先
浜崎ペンション

次は伊勢
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by cavalier-giulia | 2008-02-27 14:05 |
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